少女の舌が、ぺろりと唇を濡らした。
ぷるぷるとハリのある唇が、艶やかに弧を描く。
しなを作って强调された谷间、少女の挑発的な笑み。
その媚态は身体が震えてしまうほど妖しく、脳の奥からとめどなく热が溢れだす。
「まずはぁ?少しずつ唇の魅力に溺れていこっか?暗杀者さまはいきなりキスしちゃったせいでちょっとしか出来なかったしぃ…勇者さまはそうならないようにじっくりシてあげる?」
言うやいなや、少女の唇に添えられた指が、チュッと軽い音をたてて离れた。
その指の先にいるのは、自分。
すぼめられた唇。自分に向けられた指先。ふわりと、甘ったるくも芳しい风が頬を抚でるような気さえする。
视界が、どんどん桃色に染まっていく。少女から目が离せなくなっていく。
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不味い。
そう思ったときには、既に勇者の瞳は少女のぷるぷるとした柔らかな唇に囚われていた。
「ふふー?どんどんいくよ?」
チュッ…?チュッ…?チュパッ?
小さな唇の音が、静かな宿の一部屋で几度も反响し色づけていく。
少女の投げキスに、自分がどんどん心夺われていることは自覚している。
だが、もう自分ではどうしようもないほど勇者は魅了されていた。
最初の投げキスの时、頬を抚でた风の正体。
それは、キスと同时に吹き挂けられた少女の吐息。浓厚なフェロモン呑み込むように块である吐息が、空気に混じり波となって勇者を少しずつ蚀んでいたのだ。
だが、今さらそれに気づいて何になるのか。
たかが投げキス。されど、それは古くから女が他者を诱惑するのに、数えきれないほど使われてきた王道。
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それを男の性を植え付けられた状态で、何度も何度も女性の魅力の一つの极致とも言える淫魔にされているのだ。
もはや、勇者の瞳は虚ろに震え、少女を警戒していたはずの身体は今にもへたり込んでしまいそうで。
「そぉれ?ん~ちゅっ?」
少女は、両手を口元に当て、少し溜めてから一际强く唇を鸣らして投げキスをした。
それはさながら大観衆に向けてやるような仕草で、されどそれはたった一人勇者だけに向けられたもので。
なんの比喩も夸张もなく文字通り万人を魅了する少女の媚态が、ただ一人の観衆に注がれる。
あまりにも、浓厚なフェロモン。溜めたことでより浓厚になったフェロモンが、吐息に乗って勇者を包む。计算され尽くした甘い微笑みが、勇者を射止める。
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