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日文676(38)


 しかしそれ以上に、奈良岛には女の方が気になった。タイトスカートで强调されたヒップライン……それには见覚えがあった。
(あの女は、まさか……)
 奈良岛の頬に汗が伝わる。空调は利いているというのに、口の中がカラカラだ。
 重役の爱人らしい。
 社长の爱人らしい。
 いや、同じグループ伞下の别の会社の取缔役と関係がある。
 また、最近勃兴してきた企业の、若手経営者の恋人である。
 奈良岛の脳裏に、今まで耳にした例の噂が反响する――。
 不意に、例の女がカウンターから顔を挙げ、后ろを振り返った。
 目と目が合ったかどうかは分からない。しかし、その顔は、化粧で雰囲気こそちがえど、明らかに奈良岛の憧れている人物だった。
(あれは、柏原爱理だ)
 二人がホテルを出て行くのを、奈良岛は呆然と见ていた……。
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パーティが始まっても、奈良岛は気が抜けたようになって、壁の花と化していた。
 开场后三十分して、柏原爱理が到着したのが见えた。一时间ほど前、ロビーで见た时とは服装も化粧も违っている。本当にロビーで见たカップルの一人が、柏原かと疑ってしまう程だ。
 何だか居た堪れなくなり、奈良岛は柏原に気づかぬ振りをして、会场を出ようとした。
 彼の心は闷々としていた。まるで初恋に破れた青二才のような心地だった。社长秘书なのだ、自社他社问わず重役や、取缔役に会う机会も多いだろう。そこで见初められる可能性も少なくはない。勿论、例えば男に妻子がいれば、それは伦理的に问题である。だが、色を好むのもまた男の本性なのだ。それに、柏原はとてもチャーミングだから……。
 会场を出た所で、そんな风に悩んでいると、ケータイが鸣った。 nwxs6.cc
「――!!」
 柏原爱理からだった。
 咽喉を鸣らし、ゆっくりと彼はケータイの通话ボタンを押す。
『もしもし、奈良岛君?』
 ケータイの向こうから、憧れの声がした。
「も、もしもし……」
『あ、奈良岛君。今何処にいるの?』
「その、开场の出口に……」
『え、もう帰るの?』
「はい、ちょっと……」
 しばし沈黙が下りる。
『ねえ、奈良岛君……』
 ケータイの向こうから声がした。
「はい、何か……」
『ちょっと、时间くれる。お话ししましょう』
 そう相手は言うと、こちらの返事も待たずに通话が切られた。
 そして数秒后、今度はメールの着信音が鸣る。
 そこには……。

    今から、このホテルの2034号室へ来て下さい。
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