ただ、その指先から光が放たれるのを、见ていることしか出来なかった。
「さっ…魔王さま…?そのお身体で、しっかり覚えてくださいねぇ…?一からぜぇんぶ、丁宁に教えてあげますから?」
魔王は咄嗟に魔力を集め、少女を屠るべく手のひらを向ける。
だが、もはや手遅れだった。
少女の甘ったるい声が脳髄を震わせた瞬间、急に芳しく感じるようになった甘い香りを吸い込んだ瞬间、魔王の敌意が蕩ける。
そして、眼下で微笑みかける少女の姿、その肉体を、その笑顔を认识した瞬间、魔王の意识の全てが色欲に涂り替えられていく。
「あっ……はぁ……セリーネぇ……?」
その瞳には、もう灭ぼすべき人类の姿も、导くべき魔族の姿も映っていない。
ただ、淫靡に舌舐めずりする最爱の少女だけが、魔王だった女の全てとなっていた……。
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秘书
「素敌なコテージね」
柏原爱理はそう言って叹息した。
「そうだろう。ここに来る客は、君が初めてだよ」
大河原隼人は自慢げにそう言った。
すらりと高い背、引き缔まった身体、そして最近上场を果たしたメイカーの代表取缔役とは思えない若さを涨らせた隼人は、文字通り时の人だ。このコテージも、见た目はログハウスのようだが、空调は整い、赘が凝らしてある。こんな静谧な森の中にコテージを建てるだけでも几らことやら。それに加え、この森一帯も隼人のプライベートスペースだというのだから、その资産家振りは并大抵のものではない。
柏原爱理は、大手贸易会社の社长秘书である。さるパーティで二人は出会い、互いの歳が若いこともあって急速に亲しくなっていった。
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「でも、ご家族はもう游びに来ているんでしょ」
爱理が讯く。
湖も近く、そこからの风が心地良かった。
「家族? 何を言っているんだ。家族は俺がここを建てたことすら知らないよ」
「まあ……」
爱理は大袈裟に絶句した。隼人は既婚者である。子供も二人いた。それを承知で、爱理はこの若き経営者との仲を深めてきたのだった。
そして、今日このコテージへも二人で来たのである。いわばこれは不伦旅行と言えた。
隼人程の人物なので、いざという时には会社と连络が取れるようにはしてあったが、恐らくここに来ていることは谁にも告げてはいない。それでなければ、不伦が暴露されるリスクが高まってしまう。このコテージに来る以前にも、既に二人は密会を重ねていた……。
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