「男なんて振り回してナンボよ。俺がいないとだめだなぁ、ぐらいに胜手に思わせておけばいいんだって。俵くん、そういうヒーローっぽい感じ好きそうだし」
「あはは。夏南さんはやっぱ强いなぁ」
「それに、将来、子供を作るってなったとしても、遗伝するとは限らない。贵方はかなりレアなケースなのよ?そりゃ、贵方のご両亲の事は私もよくは知らないけど、あんな事そう何度も起こる筈ない………いえ、ごめんなさい。出过ぎたことを言って」
「いえ、心配してくれるのは嬉しいって思ってますよ……。私も、いつまでもこのままって訳にいかないのはわかってるので………」
「そう?ならいいけど………じゃあ、俵くん呼ぶね?」
「はい、お愿いします………」
***
「―――じゃあ、また明日来るな」
「ごめんね。仕事とはいえ、毎日毎日………」
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「気にすんな。仕事だとはあまり思ってない。来るなと命令されても来るよ」
「ほんとに私の事、好きなんだね」
「っ、あ、当たり前だろ……じゃあなっ」
顔を真っ赤にしながらよっちゃんが帰っていく。
その姿を笑顔で见送り、胸が热くなる。
「はぁ………」
吐き出す叹息も、心なしか热かった。
サイドテーブルに置いてあった鞄を膝の上に乗せ、中身を渔る。
取り出したのは、よくあるスポーツドリンクの小瓶。
「ふふ………」
その表面をゆっくりと抚でる。
自分でも、頬が缓んでいくのが分かった。
「わかってるよ……このままじゃダメだって………」
下腹部が燃えるように热く、蕩けていく。
「はふ?……ショゴス様……テケリ?リ、テケリ?リ。全てを捧げます……ショゴス様……??」
うわ言の様に呟きながら、瓶の中身を掌に垂らす。
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それは、とろとろとした薄緑色の粘液だった。
その表面から、数本の触手がゆらゆらと现れ、服の隙间からゆっくりと中に入ってくる。
白い柔肌を、几本もの触手が这う感覚。
ベッドに横になり、そっと目を瞑り、その感覚に身を任せた。
***
翌日。
俺は、学校が终わってすぐに病院に向かおうとしたが、担任の教师に捕まり、昨日のサボりに関してねちっこく叱られてしまって遅くなってしまった。
曰く、8人目のお母さんが危笃って、一体何人お母さんがいるんだ!との事。
怒るなら怒るで、もっと早い段阶で怒ればちゃんと别の言い訳を考えたというのに。
元々孤児である自分に、母亲など一人もいないと言えば一人もいないし、八咫乌で世话になった者たちを母と呼んでいいなら、何十人もいる、とも言えるのだ。
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